約6割が助成金、補助金が終了した後の補填策が決まっていないと回答!中小企業の実情とは!?


助成金や補助金が終了した場合、将来の経営に不安を感じている方が9割以上

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、様々な助成金・補助金の制度の話題が増えました。

会社経営者の方はよくご存じのことかと思いますが、こういった特別な状況以外においても、企業の様々な場面を支えるための助成金・補助金は大変多く存在しています。
企業としてはこれをしっかりと活用し、更なる躍進へと繋げていきたいところですが、実際のところそう上手くいくのでしょうか。

受け取った助成金・補助金の使い道や、それによる経営状態などが気になるところですよね。

そこで、従業員数50人以下の中小企業経営者(各種助成金・補助金を申請、活用した経験がある方)を対象に、「助成金・補助金の活用方法」に関する調査を実施しました。

コロナ禍以降、助成金・補助金を申請した企業は8割以上!

はじめに、助成金・補助金を受け取った時期について伺ってみました。

「各種助成金・補助金を受け取ったのは、直近ではいつ頃ですか?」と質問したところ、『2022年以降(26.3%)』『2020年~2021年(57.8%)』『2018年~2019年(8.1%)』『2016年~2017年(1.6%)』『2015年以前(6.2%)』という回答結果になりました。

では、助成金や補助金を何回くらい申請したことがあるのでしょうか。

続いて、「今までに各種助成金・補助金を申請した回数はどれくらいですか?」と質問したところ、『1回(21.0%)』『2~3回(45.6%)』『4~5回(14.3%)』『6~7回(5.6%)』『8~9回(1.5%)』『10回以上(6.4%)』『わからない・覚えていない(5.6%)』という回答結果になりました。

2~3回が4割強、1回が約2割と、合計すると全体の約6割強を占めますが、4~5回など複数回に渡って助成金や補助金を利用している企業も決して珍しくはないようです。

会社経営に助成金・補助金は欠かせない?最も活用例が多いのは【新型コロナウイルス流行関連】

中小企業が利用することが多いのは、どのような種類の助成金や補助金なのでしょうか。

「申請・活用をしたことのある助成金・補助金はどういったものですか?(複数回答可)」と質問したところ、『新型コロナウイルス流行関連(65.4%)』と回答した方が最も多く、次いで『人材採用、雇用関連(19.7%)』『雇用業態の整備関連(16.1%)』『起業、開業、創業関連(14.3%)』『職場環境の整備関連(13.9%)』『人材教育、育成関連(13.2%)』『新規事業開始に伴う準備関連(9.3%)』『法改正に伴う変更関連(4.3%)』と続きました。

先程の調査結果で、2020年から2021年にかけて申請した方が多いことが分かりましたが、新型コロナウイルス流行関連での助成金や補助金が多いようです。
その他では、人材採用や雇用関連、雇用業態の整備関連といった助成金や補助金も比較的多くみられました。

では、それらの助成金や補助金は、中小企業にとってどのくらい役立つのでしょうか。

「受け取った助成金・補助金は、会社の経営に役立ちましたか?」と質問したところ、『大いに役立った(53.9%)』『まあ役立った(37.5%)』『あまり役立たなかった(7.1%)』『まったく役立たなかった(1.5%)』という回答結果になりました。

9割以上の方が、役立った(大いに役に立った、まあ役立った)と感じているようです。
どのように役に立ったのか具体的にお聞きしました。

■受け取った助成金や補助金は、どのように活用している?

  • 【起業、開業、創業関連・人材採用、雇用関連・新規事業開始に伴う準備関連・新型コロナウイルス流行関連】IT会社設立時の従業員募集助成金を活用して採用活動に充てた(40代/男性/千葉県)
  • 【人材採用、雇用関連・人材教育、育成関連】コロナ禍が入る前に店を企業してその後に緊急事態宣言に入り経営難になったので人員の給料をしっかり渡すのに活用した(40代/男性/東京都)
  • 【新型コロナウイルス流行関連】コロナ対策で空気清浄機やアクリル板設置に使わせて頂きました(50代/男性/北海道)
  • 【新型コロナウイルス流行関連】テレワークのためのコンピューターソフトを購入した(60代/男性/北海道)

感染予防対策やリモートワーク(テレワーク)のほか、人材採用や給与といったことなど、幅広く活用されているようです。

9割以上の企業が「助成金・補助金は重要である!」と回答。その切実な理由とは?

ここまでの調査で、コロナ禍の感染対策をはじめ、様々な場面で助成金や補助金が役に立っていることが分かりました。
融資などとは違い返済する必要がないため、活用できるのにしないのは勿体無いといえるでしょう。

しかし、中小企業にとって助成金や補助金は“あれば役に立つ”とはいえ、必ず必要な制度なのでしょうか。

そこで、「各種助成金・補助金は、会社経営にとって重要ですか?」と質問したところ、『大変重要である(60.8%)』『まあ重要である(32.5%)』『あまり重要でない(5.2%)』『まったく重要でない(1.5%)』と9割以上が重要だと思っている様子が窺えました。

役に立ったと回答した方が9割以上いましたが、やはり重要だと思っている方が圧倒的に多いようです。
重要だと回答した方に、具体的な理由についてお聞きしました。

■中小企業にとって、どうして助成金や補助金は重要なのか?その理由とは

  • 銀行借り入れや自己資金だと個人の負担が大きいので(30代/女性/神奈川県)
  • 中小企業にとっては多少の金額でも倒産に関わるからです(50代/男性/東京都)
  • 2期続けて営業利益がないにもかかわらず、給付金で経常利益を確保できたから(60代/男性/岡山県)
  • 経営環境の不安定な状況で中小企業の救済になると思う(60代/男性/神奈川県)

などの回答が寄せられました。

助成金や補助金の有無は、例え僅かな額であっても中小企業にとっては倒産に関わるほど大切な制度である、という理由があるようです。
むしろ規模が小さい中小企業だからこそ、資金繰りやキャッシュフローの影響をしっかり把握する必要があるのかもしれません。

もし助成金・補助金が無くなってしまったら?備えができている企業はわずか約4割

中小企業に無くてはならない助成金や補助金ですが、いつかはコロナ禍も収束し、本格的な経済活動が再開される日が来るでしょう。
そうすれば、現在実施されている助成金や補助金といった支援施策は打ち切りということになるかもしれません。

では、そうなった場合はどのようにしようと考えているのでしょうか。

そこで、「もしも各種助成金・補助金施策が終了した場合、その分をどのように補填するかは決まっていますか?」と質問したところ、『はい(42.5%)』『いいえ(57.5%)』という回答結果になりました。

6割近くの方が、どのようにするのか決まっていないようです。
では、もう決まっていると回答した方に、具体的にどのように補填するのかお聞きしました。

■助成金や補助金が終了したら、どのような対策を考えている?

  • 銀行から借りるかクラウドファンディングする(50代/男性/群馬県)
  • 内部留保と剰余金を充当(50代/男性/福岡県)
  • 地域賛同者や企業賛同、ボランティア協力者拡大など(60代/男性/埼玉県)
  • 必要になった場合は、長期借入金を検討しています(60代/男性/兵庫県)

などの回答が寄せられました。

今まで助成金や補助金で賄っていた分を、内部保留や剰余金で充当できるのであれば問題はなさそうですが、銀行などから資金調達する場合は返済や審査といった別の問題が生じるかもしれません。
また、クラウドファンディングやボランティアといった不確実なものに頼ることは避けた方が良いでしょう。

助成金や補助金が終了した場合、その後の経営について不安はないのでしょうか。

最後に、「各種助成金・補助金施策が終了した場合を考えた際、経営に関する不安はありますか?」と質問したところ、『大いにある(35.4%)』『多少はある(45.2%)』『あまりない(16.3%)』『まったくない(3.1%)』という回答結果になりました。

9割以上の中小企業の経営者が、不安を感じていることが分かりました。
いつ助成金や補助金が終了しても問題が起こらないよう、今からしっかりとした対策を考えておく必要があるかもしれません。

【まとめ】助成金・補助金に頼り不安を抱える企業は多い。将来の経営を見据えた対策が必要か

今回の調査で、中小企業がどのように助成金や補助金を活用しているのかが明らかになりました。

2020年から2021年にかけて申請が多いことから、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が強くあったものと考えられますが、2022年以降も26.3%と依然として多い傾向があるため、今後しばらくは助成金や補助金を利用したいと考えている企業が多い様子が窺えます。

事実、助成金や補助金が役に立っている、あるいは重要だと回答した方の割合は、いずれも9割以上と高いことから、中小企業における助成金や補助金の“依存度”は、大企業などに比べて大きいといえるでしょう。

しかし、助成金や補助金制度が終了した場合、9割以上の中小企業が経営に不安を感じると回答したことから、助成金や補助金に頼らなくても健全な経営が行えるよう、将来的な経営対策が必要なのではないでしょうか。


調査概要:「助成金・補助金の活用方法」に関する調査
【調査期間】2022年9月15日(木)~2022年9月16日(金)
【調査方法】インターネット調査
【調査人数】1,014人
【調査対象】従業員数50人以下の中小企業経営者(各種助成金・補助金を申請、活用した経験がある方)
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ


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