お金の使える世の中を作ろう


人の行動に制限がなくなり自由に活動できるようになったものの、景気が良くなって来たという感じはありません。

日本の中小企業・零細企業は皆さんもご承知の通り全事業者の約99.7%を占め、そこに従事する人は全労働人口の約70%と言われています。業種によって比率は変わりますが、日本の大半が概ね中小・零細企業の売上と利益から人件費として分配された所得で、各世帯が生活している事で間違いないです。

 

ここ数年10月の最低賃金見直しや春闘のベースアップ時期に賃金アップを政府主導で促され、最低賃金も上がり続け、ベースアップも大幅上昇となり人件費が上がり続けています。最近では、大臣手当も上がりました。

従業員の給与を上げた企業への法人税減税や、補助金・助成金もあるにはありますが、概ね中堅規模の優良企業しか使える環境にないように思います。

 

厳しい状況が続く中小零細企業には、人件費を増やす原資としての売上と利益が必要です。

ですが、そこを救済していく給付型の補助金・助成金はありません。そんな厳しい中小零細企業で働いている人達は、どうすればいいのでしょう。ゾンビ企業と揶揄されて、そんな企業は潰れてしまえという事なのでしょうか。そこで働いている人は、北欧のような社会福祉セーフティネットが不十分で、再チャレンジが難しいこの国で、優良会社に入れなかった自己責任だと諦めろという事でしょうか。絶対に違います。

 

今日現在社会に存在する中小零細企業は、売上は減少してても売上があるのです。

減少した売り上げは、量が増える機会を作れば、時間はかかっても上がって行きます。

素人の未経験者が同種の事業で一から売上を立てるより、今までの技量と経験、ノウハウがあるので質を伴った確実な売上を出して行けるのです。

社会の中で需要があり稼ぐ力を持っているんです。そこで働く人も需要があり稼ぐ力があるという事です。

 

ただ、大企業と同じように、平等に資材や燃料、水道光熱費の物価高、人件費の高騰が押し寄せれば、上流工程にない受注下請け、物販、飲食、サービス業は売上単価も上げ難く価格転嫁が実質出来ない中で利益が出せません。メーカーや卸商社のように、自分の顧客に当然のごとく価格転嫁をしてしまえば、主要な顧客を失うリスクがあるからです。決して経営者の能力が低いわけではありません。逆に高いから価格転嫁しないで経営しているのです。

原価やエネルギー関連の経費を言われるがまま受容しなければならない環境下にあって利益を上げて人件費を上げて行くことなど至難の業です。でも、諦めてはいけません。活路を見いだしましょう。

 

そんな厳しい中小零細企業の内部で、今までなかった問題が発生しているように感じています。

役員報酬と給与の格差問題です。今まで中小零細企業ではあまり教え合う事のなかった個人の報酬や給与が公然となりつつあります。

社会保険料や所得税が高い事で、役員報酬は額面が高く見えても手取りとのギャップが大きく不満があるのですが、社員からすると、国が給与アップを促しているのに自分の給与があがらず物価高もあり生活が厳しいのに。と、不満を募らせて社内の環境が悪化しているケースを見るようになりました。

業績が厳しい事が社内で認知されている中で、皆で業績回復まで頑張ろう。と社内を鼓舞する経営陣に対する不信感にはどう対処すべきか。

経営陣が社員に言い訳するのは愚策だと思います。マネジメントとして業績を回復させる活路を見いだし、目標を共有し達成することで、社員の給与を上げて行く事を改めて宣言した方がいいかもしれません。

私は、その方法で、クライアントの経営陣と社内に対応し、社員の士気を落とすことなく利益アップに至りました。

中小零細企業の経営者の中には、資金繰りの中で役員報酬をバッファ(調節が効く支出)と捉え、資金繰りが厳しくなると、社員より先に未払報酬として自分への支出を止めたり、自己資金を会社に貸し付ける人も多いです。もし、そんな状況にある人は、使える!資金繰り表を一緒に作成しながら対応を考えましょう。

 

すべての人がお金を使える。使っても良いと思える社会を、私たちが事業を通して未来のために作って行きましょう。

 

消費動向調査(令和5 (2023)10月実施分) 調査結果の要点

内閣府経済社会総合研究所
消費動向調査(令和5 (2023)年 10 月実施分)調査結果の要点より抜粋
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html


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