オーバーローン住宅の財産分与はどうする?参考になる判例もご紹介!


夫婦の共同財産にオーバーローン住宅が含まれる場合、離婚時の財産分与で困ってしまう可能性があります。
住宅ローンの負担を離婚後にどうするか、住宅の所有権をどうするか、決める必要があるからです。
今回はそんな多くの方を悩ませるオーバーローン住宅の財産分与について、参考になる判例も紹介しつつ解説します。

□オーバーローン住宅の財産分与について

オーバーローン住宅の債務は、財産分与の際に整理し、取り扱いをきちんと定めることが重要になります。

特に婚姻期間が長い夫婦は住宅を共同財産として所有しているケースが多く、共同財産の住宅は、離婚時には住宅ローンの契約を踏まえてどのように財産分与をするかを決めなければなりません。
財産分与の整理は夫婦間で取り決めるだけでなく、住宅ローンの借入先である金融機関とも関係を整理する必要があります。

*離婚時に住宅を売却するケースについて

離婚時に住宅を売却し、住宅ローンの残債を払う方法を選択する方法もあります。
ただし住宅ローンの残債が住宅の売却金額を上回るオーバーローン住宅の場合には、手元にその差額を埋められる資金がないと、現実的な方法とは言えません。
夫婦で話し合い、住宅ローンの債務をどう整理するか慎重に決めるようにしましょう。

□オーバーローン住宅の処理に関する判例をご紹介!

中にはオーバーローン住宅が離婚時の財産分与の対象にならず、共有名義のままになってしまうケースも存在します。
オーバーローン住宅が後でトラブルを引き起こしてしまうケースも多く、裁判になるケースもあります。
平成18年6月15日の東京地裁の判例をご紹介します。

この判決は、原告が元妻の妹(被告)に対して原告・被告の共有する建物の共有物分割を求めた事案です。
対象となる建物は2分の1ずつ原告と被告が共有していましたが、被告名義の住宅ローン残額が建物そのものの価格を上回っている状態でした。

裁判所は実質的な持ち分割合が3対7であることを前提にして、
・建物を売却してもローン債務が残る可能性が高いこと
・原告がその建物に居住する可能性は極めて低いこと
を理由に、被告に建物全体を取得させる賠償を採用しました。

また、代償金は原告の請求額よりも少ない100万円が定められました。

□まとめ

今回はオーバーローン住宅の財産分与について、後々紛争になった場合の判例も紹介しつつ説明しました。
オーバーローン住宅は離婚時の財産分与で悩みの種になるケースが非常に多いです。
もし夫婦間で折り合いが付かない場合には、ぜひ一度当社にご相談ください。