変化を乗り切る経営者の手法


資金繰り表を活用した経営を推奨し続けています。いつの時代でも、決算申告に向けた会計処理『決算報告書』に基ずく経営分析だけでは、経営者は実務的に経営に活かせない。という問題というか課題があります。
そのために、ある経営者は、財務諸表を読み込むため自ら勉強をし、ある経営者は、右腕になるべく財務戦略担当を得て実務に落とし込めるようにしています。

もちろん勉強する時間も興味もないし、右腕を得るほどの資金的余裕もないという経営者も多くいます。
そういった経営者は、経営が出来ていないのか?倒産してしまうのか?と言えば、事業が継続出来ちゃっている経営者も多いのです。
固定的な売上をあげる取引先があり、仕入れや外注先も確実なところを押さえてあり、事業所があり、従事者がいる。
通帳の残高を確認しながら、売上先に請求書を出し、支払うべきものを遅滞なく支払えていければ、事業は継続しているので、大きな意味では、経営していると言えなくもないです。
この状況ならば、年一回申告に向けて決算報告書を作成するときにも、税理士が黒字として申告書を作成し易いでしょう。
黒字で申告出来ていて、納税も遅滞なく収めていれば、事業規模と使途が明確なら銀行からの融資を得るのも容易になっていきます。
後はこのまま、売上先も仕入・外注先も事業所も従事者の人数も変えず純増していきさえすれば事業は安泰です。事業規模も右肩上がりにゆっくり伸び、途中に設備投資をするのも銀行が後押ししてくれます。

そうです。皆さんのご指摘のとおり、何も変わらず純増し続ける。そんなことなどありえません。

何があるか分からないという事だけではなく、絶対的な事として、皆、年を取るためプレイヤーが変わって行きます。
売上先も仕入・外注先も、社長を含む従事者もプレイヤーが変われば、見えないところで繋がっていた意思疎通も途切れ、取引内容も条件も変わって行くことが多々あります。つまり絶対的不可避なプレイヤーの年齢だけとっても、経営は『変化が余儀なくされる。』ということです。

変化に対応していくためには、前出にあるような事業が継続出来ていれば経営しているような気になる。という経営感覚では、生き抜く事は出来ないでしょう。経営資料不足で、ちょっとした変化に対応が遅れるだけでなく、短絡的に資金調達に走りがちになり、売上減少や経費増加に事業が先細りになった時に経営の舵取りが出来なくなる。

変化に対して決算報告書を読み解きながら、現場に売り上げ目標の変更、仕入・外注費の見直しや、人件費・経費の見直しを指示・命令しても、基の決算報告書データは昨年度1年間の結果であり、今を反映していません。その決算報告書を基に今の現場に指示・命令しても響かないのは当然の帰結です。
今の組織構成や業務工程、事業進捗状況、マーケティング戦略は、決算書の項目には出てこない多くの要因で、今と将来の売上や経費を作っています。
つまり、前期決算報告書分析の上で、今期の決算報告書項目に沿った目標・予算を指示・命令するのは現場感覚のない経営者と現場に見なされ、現場のパフォーマンスが下がるのは当然な帰結といえます。

では、どう対応すべきか?

決算報告書を基にした数値目標だけでなく、資金繰り表の進捗を基にした数値目標を、常に更新しながら現場に伝えていく事です。
なぜなら、資金繰り表を基にした現場へのフィードバックは、直接的な個人への給与・賞与に訴求し、会社が儲かっているか、倒産の危機にあるのかを明確に映し出す指示・命令になるからです。
例えば、3月末決済の会社が6月の営業会議で『前期末の結果を踏まえて、今期夏の賞与分の利益は確保出来ている結果となっています。賞与支払い月まで予算を達成してみんなで喜ぼう』など

決算報告書の項目に沿った目標や予算の設定と達成責任は、経営マネジメント層の役員会で請け負い、外部ステークスホルダーと共有していく事とする。
現場には各担当役員・マネジャーがその数値実現のために、マネジメント層の責任数値をそのまま現場に伝えるのではなく、現場感覚を共有してパフォーマンスを上げさせるように伝える。

経営者が決算報告書を重視しようと、しなかろうと、ズボラやザルと思える経営をしようと、事業継続には、資金の継続こそが全てと言って良いと思います。つまり、資金繰り表を活用した経営が、これからの変化に対応する重要なツールとなっていくはずです。

一緒に知恵を使ってこの難局を乗り切っていきましょう!ご相談お待ちしております!


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