危機こそチャンスだ!

危機がきっかけで「まとも」な経営に

社長と経理部長で、何とか社員に不安を感じさせないように資金繰りに奔走。
一方では、社員を第一に考え、社員が働き易いようにと、経費も自由に使わせていた。
言い換えれば、売上第一主義で財務戦略なしである。
いよいよ資金調達が銀行から出来なくなり、翌々月には資金ショートが確実となった。

プライドが高く、社員にカッコ悪い姿など見せられない、銀行に不信感を持たれるなど考えられない。
と一人気勢を張っていた社長。
しかし、意を決し返済条件変更を決意するとともに、全社員を集め社員集会を行った。
銀行には正直に失策を認め、改善策を示し協力して貰うように頭を下げた。
本来なら倒産を覚悟しなければならない内容でもあったが、再起するチャンスを何とか頂けた。

社員は経営陣に経営力が無いと攻め立てていたが、財務諸表を解説し、売上を上げるために使われている交際費の額が異常だと指摘すると、営業部からは激しい反発を受けた。

しかし、初めて社長と社員が『経営』『会社の存在意義』について本音で話し合う良い機会となったのです。

結果として、交際費やリベートを削減していっても、売上げは想定より下がる事はなかった。
しかしながら、一部の営業は旧営業スタイルが使えなくなった事で辞めてしまった。

会社として痛みは伴った。
仲間だと思っていた社員が辞めていくのは社長にとって身を切られる思いだった。
しかし、身を切るほどの痛みがあったからこそ、『まとも』な経営が出来るようになったのです。
そして、その後はどんな厳しい局面でも『本質的に正しいこと』を選択しながら筋肉質な経営が続けられています。

当社は、財務戦略、資金繰りの面から判断し、
社内の聖域に踏み込んででも、会社を守る事を信条としています。

人件費削減、コストカット

会社は『人』である。真にその通りなのです。
ですから、売上減少、業績低迷でも人員削減は出来るだけ避けるべきだと思っています。
奇麗ごとではなく、人員削減するくらいなら、給与の見直し、雇用契約の見直し、ワークシェアリングによる勤務時間の削減など既存社員、パート全員が少しずつ痛みを共有することで乗り切れるなら、その道を模索しましょう。
それで離れていく社員やパートがいれば、それは受け入れるしかありません。

経営者から社員やパートに選択肢も与えず解雇や退職勧告をするのは愚策という他ありません。
自社に『人』を入れる事、長く勤務してもらう事の難しさを、厳しい時ほど思い出しましょう。

コストカットは、電気をこまめに切る。エアコンの温度を上げる。
コピー用紙の裏紙を使うなどで細部まで節約する事がコストカットだと思っている人が多くあります。
この削減方法は、社内の雰囲気が委縮してしまい、売上や業務環境に悪影響を生み、コストカットのつもりが却ってマイナス効果となる事があります。

事業におけるコストカットは、“将来に渡ってお金を使わなくて済むようにしていくこと。
”と定義すれば、投資をしながら中長期的に大幅なコストカット考えて、事務所や店舗、工場などのデッドスペースを削減し縮小する。一部賃貸にする。事務機器を残価で購入してリースを削減する。電気をLEDに替える。
福利厚生を削減するなどに目を向けた方が目に見えて削減効果を実感できることがあります。

当社は、中長期的な再建を目指します。
人件費削減、コストカットは目先の判断で行うと、
将来にわたって取り返しのつかないマイナスの失策となる事がありますから
慎重に検討していきます。

社内の雰囲気を変える

業績が上向く会社の雰囲気は良い。
雰囲気は『気』ですから、そこで働く社員の言動、行動が『気』となり社内に発せられて、そこにいる人に感じさせるもの。
その『気』が良ければ雰囲気が良いということになります。

『気』を生み出す社員の言動、行動の源泉は社長の意思の伝え方に依ります。
会社の陣頭指揮を執る社長や現場のリーダーが、どういう姿勢、表情で社員とコミュニケーションを取っていくかで会社の雰囲気は変わって行きます。
社長が『こうありたい』という方向にしか会社は動きません。
悪い方向に考えようと、良い方向に考えようと、その考えが社員に伝わり、そのようになっていくしかないのです。

社長が現状を改善するために陣頭指揮を執り、その具体策を徹底して実行させていく、その結果を、実績として社員が実感できるようになる。
これが『良い雰囲気』を生み出す好循環の会社です。逆に社長が焦り、ぼやき、社員にとにかく売上を挙げろと声を荒げるような会社は悪い雰囲気を生み出し悪循環になります。

当社は、陣頭指揮を執る社長に寄り添う事で、
社内の雰囲気を良くしていく事を大事にしています。
数値で改善を示すには、その数値を達成する土台となる社長や現場のリーダーが
どう考えて内外に伝えるかに依るからです。

モチベーションを上げる

精神論の話だけになりがちなテーマですが、社員のモチベーションを上げるにはどうしたらいいのか。
というテーマは、社員を持つ経営者、部下を持つ現場リーダーには大きな関心事です。
モチベーションつまり『やる気』はどうしたら上がるのか。
目標を立てたとき、使命感、認証欲求、守るべきもののため、チームの仲間意識・・・・人ぞれぞれに、様々なきっかけ、理由があります。

このテーマに関心を持つ経営者や現場のリーダーは、自分自身のモチベーションを高める理由を確立している人が多いです。
ですが、社員のモチベーション(やる気)をリーダーがあげる言動、行動には、『モチベーションを上げるための気づき』を、きっかけとして与えることだけの様に思います。
それでも社員のモチベーションが上がらないのであれば、その環境や状況が、その人にとっても、リーダー自身にとっても適切ではないのかもしれません。

他人の領域を自分の希望に合うように変える事より、自分の領域で自分の姿勢、言動を変える事で他人に影響を与える方が簡単です。
社員のモチベーションを上げるにはリーダーが自分自身のモチベーションを上げ続けることが、社員のモチベーションを上げる為に一番効果があるように思います。

当社は、財務面から経営陣と経営戦略の実行の必要性を共有し、
経営陣自らがモチベーションを上げて行けるようにしています。